読めば必ず食べたくなる!?お酒のアテにも会話のツマにも最適!
おつまミステリー 浅暮三文著 帯文より
ミステリー作家、浅暮三文氏の語るおつまみ本の紹介。
私はお酒は飲めないが、おつまみは好きだ。いつ頃からその味を知ったかはよく覚えていないが、おそらく生まれ育った地域の祭りで、大人たちが酒を酌み交わす横に盛られていた物を失敬したのが最初だと思う。
柿の種も今のように表面がツルッとしていなかったし、ピーナッツも硬かった。するめの甘しょっぱさ、チーズ鱈の味も、よくわからなかったけど一発で好きになったのを覚えている。
バヤリースを片手におつまみはアンバランスだが、大人の真似をする楽しさや祭りの後の開放感につられたのもあったのだろう。
本書がおつまミステリーと銘打っているのは、ミステリー作家である浅暮三文氏の著作であるのもそうだが、取り上げられているおつまみそれぞれに魅力的なエピソードが紹介されているのもあるのだろう。
掲載されている数々のおつまみの一つ、レーズンバター。
レーズンバターといえば、自分は六花亭のバターサンドが一番に思い浮かぶ。 時々旅行のお土産のおこぼれに預かることが多いが、ひんやりとして歯ごたえを感じながら味わいたいので、すぐにでも食べたい衝動を抑えながら、冷凍庫にしばし寝かせるのが大切な儀式だ。
レーズンバターはバーのおつまみとして提供されることもあるが、ドイツやフランスをルーツとして、葬儀用に供される菓子という背景があるそうだ。
代表選手のフュネラルパイは、葬儀の翌日に近所の人や友人が持ち帰って食べるらしい。こうなると確かに葬式饅頭だ。日本の葬式饅頭は外国のバーで出されることはないだろうが、日本食レストランも珍しくない時代である。サケと葬式饅頭のマリアージュ、いかがでしょうか。
この他にも色々なおつまみが豊富なエピソードと合わせて紹介されている。酢昆布の章を読むと、指に残った酸味のある粉を舐め取りたくなるし、芋けんぴは、虚弱な人も”健”やかに”肥”えるから健肥と名付けられたとある。このだらしない身体は芋けんぴの豊富な栄養によって作られたらしい。
夜中に読んじゃいけない。お酒とおつまみが止まらなくなっても悪しからず。