もやもやした気分の時には書店に足を運ぶようにしている。気分転換にもなるし、自分の気持ちに合った本に出会えることもあるからだ。
今回目に留まって購入したのは、鈴木宗男氏著のこの本。『人生の地獄の乗り越え方 ムネオを救った30の言葉』である。
地獄に落ちたとまでは言わないが、帯にあるように、『地獄に仏』心を打つ30話ときたら、これは買わねばなるまい。
鈴木宗男氏といえば、2002年にいわゆる『鈴木宗男事件』と呼ばれる数々の疑惑にて逮捕されたことで知られている。国会にて、疑惑の総合商社と厳しく追及された様子を覚えている方も多いだろう。
ただ、この一連の疑惑については、鈴木氏と共にロシアからの北方四島返還に尽力した佐藤優元外務省主任分析官の著書に『国策操作』であると記されている。
この佐藤氏とのエピソードは上記の本に譲るが、刑務所での辛い毎日を支えたのは、佐藤氏が差し入れてくれたたくさんの本であったという。
なかでも、スターリン弾圧下の強制収容所を題材とした、『イワン・デニーソヴィチの一日』は大変心に染みたという。
『命までは取られない。私はまだ恵まれている』
世が世なら、国策操作の被疑者たちは生きることさえ許されなかった。それと比べれば、私の境遇は幸せだ ーそう思えたとき、この本は私にとって勇気となり、希望となった。
佐藤さんのあり余る知識、教養の凄いところは、現実に人間を救うために使われていることである。
人生の地獄の乗り越え方 ムネオを救った30の言葉 P72より
自分のもやもやの原因は、人間関係に疲れていたことにあった。世の中には合う人ばかりじゃないことはわかっているが、事実と違うことを吹聴されると落ち込むものである。
でも、鈴木宗男氏の著作はそんな心に響いた。辛いこともあるけれど、目の前のことに頑張ろうと思わせてくれる良書であった。
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