7月20日にAbema TVで中継された、宮迫博之と田村亮の会見は衝撃的だった。
反社会勢力との会合が明るみに出て以降、事務所との間にすれ違いが生じているとは囁かれていたが、その内容は想像をはるかに上回る物であった。
当初、7月19日頃に出てきていた情報では、写真週刊誌の記事が決定打となり、宮迫が引退を決断したと言う内容となっていた。そこにきてあの会見である。
二人が涙し、口にしたのは、社長によるパワハラと言って差し支えない発言についてであった。
「会見してもええ。その代わり連帯責任で全員クビにしてやる。俺にはその力がある。」
こんな風に言われたら、立場が下の者としたらたまったものではない。あまりの内容に松本人志も事態の収拾に動いたほどだ。
宮迫も亮も涙ながらに、「本当はお世話になった吉本にこんなことはしたくなかった」と言ったが、これが危機に陥った時に弱い者へ牙を剥く組織の本当の姿なのだろう。
組織から身を守るにはどうすれば良いのか
佐藤優氏は好きな作家なので、新刊はある程度チェックしているが、ちょうど良いタイミングで本書が刊行されたので読んで見た。
佐藤氏も外務省で勤務していた時の体験を元に、組織が危機に瀕した時にどのような動きを見せるのかを著書で示してきた。本作は夏目漱石の「坊ちゃん」など、どこかで誰もが見たことのある作品を元に、組織を渡り歩く方策を解説してくれている。本書と一連の騒動を重ね合わせながら読むと、理解がより一層進むであろう。
理不尽な人事、職場のいじめ、女性と仕事、予期せぬクライシス。 会社から国家まで、現代人は「組織」とのかかわりなしには生きていけない。日本の文学や漫画、ドラマなどをテキストに「組織」を読み解き、実体験も交え、生き抜く極意を指南。人事は最も危険な仕事、漱石が描いた「組織と個人」、クライシスを生き抜く非情の戦略、現場にツケを回す上司のキーワード、人材の枠を狭めると組織は滅ぶ、生活保守主義の恐ろしさ、人脈はABCに分類せよ、上司と戦ってはいけない、ほか。実戦で使える思考とノウハウ。
サバイバル組織術 佐藤優より引用