拘置所で培われた読書術
佐藤優氏と言えば、鈴木宗男氏の事件に連座して東京地検特捜部に逮捕され、東京拘置所で512日間を過ごした経験を基に世に出された
『国家の罠〜外務省のラスプーチンと呼ばれて』で知られる作家である。この拘置所での勾留中に大量の読書をし、自分の置かれている現状の分析や、外交官時代には多忙にて叶わなかった新たな語学の習得に努めた。
佐藤氏の読書術の本はこれが初めてではないが、新書ということで中身が薄くなっている訳でもなく、読み応えのあるものとなっている。
章の最後に文中に出た参考図書の一覧も出ており、興味があるものを注文してみるのも良いだろう。
余談だが、佐藤氏の作品には食べ物の描写が多く出てきており、その表現はどれも食欲をそそるのに十分である。それゆえ、夜中に読むのは注意が必要である。今後、佐藤氏がこれまで食した料理のエッセイでも出ないか期待している。