Sports Graphic Number 999号 名将 野村克也が遺したもの

素敵な笑顔である。名将ノムさんが亡くなってはや一か月が経った。自分は野球はさっぱりわからんのだが、テレビで見た独特のボヤキや妻沙知代さんとの掛け合いは印象に残っている。

野球が好きで、巨人一筋だった親父でも、『阪神は星野が優勝させたけど、基礎を作ったんは野村や』と言ったし、友人のうどん屋の大将は、『ノムさんの解説は凄い!言うた通りのコースにピッチャーのボールが来るんやで。』と興奮して話してくれた。

ID野球の意味は分からなかったけど、ベストセラーになっていた”野村ノート”は文庫で書店に並んでいたので買った。当時ささやかながら部下を持つ身になったので、書いてある内容をじっくり読んだものだ。

「金を残すは三流、名を残すは二流、人を残すは一流」 という格言も著書の中で語っていたけれど、残念ながら私はまだ三流にもなれていない。Number誌のインタビューには、ヤクルト時代の教え子など、ノムさんが残した一流の人材が登場し、花を添えた。

でも、自分が一番面白かったのは江本孟紀や江夏豊といった、ノムさんが現役時代にバッテリーを組んだ投手のインタビューだった。個性豊かな面々が語るエピソードが物凄く面白いのだ。

江本はノムさんを偶像化しすぎとクギを刺すが、独特の思いで賛辞を送り、江夏は”おっさん”と愛を込めて呼ぶ。ノムさんの人間味が感じられ、良い特集であったと思う。

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