ゆるいつながり 協調性ではなく、共感性でつながる時代 (朝日新書)

「強制」と「忠誠」の昭和

「どう、今日の夜空いてる?」

週末の仕事終わりに聞かされる悪魔の誘い。「あー、今日は彼女と約束があるんだけどな。でも、断ると後々面倒だし・・・。」

今となっては以前ほどではありませんが、週末に上司から飲みに誘われて渋々応じている人も多いと思います。
「嫌なら行かなければいいじゃん」と思う人もいるでしょうが、当時はこのような雰囲気だったようです。

「90年代半ば以前の日本企業に代表される村社会的なコミュニティは、そのメンバーに対して「コミュニティに対する忠誠心」を求めがちです。  だからこそ、社内イベントに参加しないと「こいつ忠誠心がないな」などと上司から見られたり、「なんでお前、そんなにやる気ないんだよ」と同僚からも文句を言われたりする。白い目で見られるだけならまだしも、会社に貢献していない人として業務査定でマイナスに評価されかねなかったのです。  あの当時、「業務とは関係のない社内イベントでやる気を出しても意味がない」といって、そうした強制力に抗える会社員はごく少数派だったと思います。」(『ゆるいつながり 協調性ではなく、共感性でつながる時代 (朝日新書)』(本田 直之 著)より)

飲み会に参加しないだけで会社のみんなから白い目で見られ、査定までもマイナス評価。なんとも恐ろしいことですが、このようなことが当然のようにまかり通っていた為、ほぼ強制参加が定番だったようです。

ていうか、自分が前にいた会社は上司が毎週末飲み歩く人だったんで、飲みに誘われたらまず断れない雰囲気でした。断り続けると“面白くないヤツ”のレッテルを貼られて、査定にも響くとか響かないとか・・・。よく飲み会に出てたヤツの評定が良かったのは、気のせいだよね、きっと(笑)

イベントへの参加を強制することで忠誠を誓わせることは、このような古い会社組織の中の出来事だと思われがちですが、そのメンタリティは形を変えて現代にも生き残っています。フェイスブックの友達申請や名刺交換といった例が本書には記されていますが、それは読んでからのお楽しみということで。

自分に限ってそのようなことはないと思われる方も、一読すれば背筋が凍ること請け合い。知らず知らずに“イタい人”になっていないか、自身の行動に照らし合わせてみては?