岩波ジュニア新書だから、若い人たちに向けた書籍かなと思って読んでみましたが、とんでもない。この本は人付き合いに対して悩みを持った方なら年齢を問わずオススメだと感じました。
まず、最初に述べたように、「なぜ先輩に従わなければ・・・」の問いかけですが、自分はあまり深く考えずに、「先輩だから」で終わらせていました。
しかし、本書の中で紹介されているあるテレビ番組の中で、ドイツ人の女性が大学生の上下関係を見て疑問に思う場面が描かれています。
彼女は途中編入の3年生として扱われましたが、自分より年下の1年生が、当たり前のように部室の掃除をしたり、練習の準備をしたり、先輩の世話をする様子を見て驚いたのだそうです。
いささかきつい物言いであるが、外国人の彼女からするとそれだけ衝撃的な光景であったようです。
1年生は「まるで奴隷のように」
3年生は「まるで王様のように」振る舞う。
年が少し違うだけでそんなに偉いのか?
彼女は理解できません。
私たちが当たり前のように受け入れていたこと。
それはどうやら日本だけの文化なのかもしれません。
ドイツだけでなく、ヨーロッパの方々には不思議な光景に映るようです。
このほかにも、日々私たちが感じている違和感に対する明快な答えがたくさん載っています。
人付き合いに息苦しさを感じる全ての方に、本書は読まれるべきだと思います。
相手に従うのは、相手が尊敬に値するからです。
当たり前のことですね。
尊敬できない人の言葉には従えません。
相手が素敵だから尊敬する。
この当たり前のことを確認すると、
「相手が一つ年上だから尊敬する」
「相手が一つ年上だから従う」
ということが、どんなにおかしなことか分かるでしょう。
「空気」を読んでも従わない:生き苦しさからラクになる 鴻上尚史
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